プレシーズンゲームの阪神対ドジャースが16日、東京ドームで行われ、先発した才木浩人(26)が「1番・DH」で出場した大谷翔平(30)から三振を奪うなど、5回を1安打無失点に抑えて、4回には佐藤輝明(26)がサイヤング賞投手のブレーク・スネル(32)から決勝3ランを放ち3-0で快勝した。阪神はカブス戦に続き2試合連続の完封リレー勝利。ドジャースのデイブ・ロバーツ監督(52)は「才木はすでにメジャー級」と称賛。米メディアの中からは、早くも将来のドジャース入りを予想する声まで出てきた。 【映像】大谷の“凱旋2ラン”に東京ドーム揺れる
741日ぶりのリベンジの舞台はいきなりやってきた。 1回だ。超満員のファンで埋まった東京ドームの大声援を背に大谷が打席に入る。才木の脳裏をかすめたのは、2年前の3月6日、京セラドームで味わった悔しさだった。WBC前の強化試合として阪神は大谷が参加した侍ジャパンと対戦。先発した才木は、大谷との第2打席でフォークを片膝をつきながらバックスクリーンまで運ばれた。カウント1-2からの勝負球は決して悪いフォークではなかった。力の差をみせつけられ「マジ悔しい」と、ロッカーで身もだえる姿を当時の阪神の広報映像が残している。 初球は外角低めへの150キロのストレート。コースギリギリに決まったそれを大谷は見逃した。さらに2球目に外角高めへストレート。大谷はフルスイングしたが、振り遅れてファウルとなった。 ここからが才木の意地だった。 「(2年前に)打たれたボールで三振を取りたいな、と思っていました。追い込んだらすべてフォーク」 1球、2球とフォークを続けた。 「力んだ」それはワンバウンドになり、低めに落ち過ぎた。 カウント2-2からの5球目もフォーク。またワンバウンドしたが、体寄りのインコースだったことが功を奏した。見誤まった大谷のバットが空を切り、才木は何やら声を発して小さくガッツポーズ。前日に衝撃の凱旋3ランを放っていた大谷もベンチに戻ると苦笑いを浮かべていた。 2023年に8勝5敗、防御率1.82で優勝に貢献、昨年はチームの勝ち頭の15勝3敗、防御率1.83の安定した成績を残した。2年の成長を大谷にぶつけた。 気持ちの乗った才木はドジャースのスター軍団に1本のヒットも許さず、ウィル・スミスに四球を与えただけで、3回二死から大谷と2度目の対戦を迎えた。ここでは一転、徹底してストレート勝負を仕掛ける。 「まっすぐで押していこうと思っていました」 外角のストレートから入り、2球目にスライダーは投げたが、3球目に真ん中低めのストレートでストライクをとると、4球目の外角高め151キロのストレートを大谷は強振して空振りした。東京ドームが湧く。勝負球の外角低めのストレートはボールになったが、フルカウントから捕手の坂本誠志郎はミットを真ん中に構えていた。本当の力勝負。150キロのストレートはインハイへ。大谷はコンタクトしたが球威に押し込まれていた。定位置より前のセンターフライ。 大谷は、この2打席でベンチに下がったが、才木は10年で1000億円を超える巨大契約を結んだMVP男に2年越しの壮大なリベンジを果たした。 才木は4回もフォークでフレディ・フリーマン、テオスカー・ヘルナンデスを連続三振。5回に先頭のマックス・マンシーにライト前ヒットを許したが、続くスミスを二ゴロ併殺打に打ち取り、最後は、前日に戸郷翔征から一発を打っているマイケル・コンフォートから、またフォークで7個目となる三振を奪い、5回を1安打無失点で抑えてゲラへバトンを渡した。 試合後には3番手として登板し、4回を2安打無失点に抑えたタイラー・グラスノーを通訳を伴って直撃。グラスノーの宝刀カーブの握りやコツの教えを請うた。