
35歳で大リーグのオリオールズに移籍した菅野智之投手がキャンプで初めて実戦形式の投球練習を行い、ヒット性の当たりを4本許したものの「いい一歩を踏み出せた」と充実感をにじませました。

プロ野球の巨人からオリオールズに移籍した35歳の菅野投手は21日、フロリダ州で行われているキャンプで、移籍後初めてバッターに向かって投げる、実戦形式の投球練習を行いました。

2年連続でオールスターに選ばれている主力キャッチャーのラッチマン選手とバッテリーを組んだ菅野投手は、マイナーリーグのバッター3人とあわせて8打席対戦し、1巡目はスプリットで空振り三振を奪うなど上々の滑り出しでした。
2巡目以降は積極的にバットを振ってくる相手に4連続でヒット性の当たりを許したものの、キャッチャーとサインの交換をする際に「ピッチコム」という電子機器も使いながら26球を投げて、2つの三振を奪いました。

菅野投手は「久しぶりのバッターとの対戦だったので、若干の不安とともに、ここまでやってきたものをどれだけ出せるかという期待があった。逆球がいくつかあったが、全部狙ったところには投げられないので、ある程度はよかった」と振り返りました。
大リーグの滑りやすいとされるボールに対しても「違和感はない」ということで「小さいかもしれないが、まずはいい一歩を踏み出せたと思う」と充実感をにじませていました。
菅野投手は今後も実戦形式の投球練習で調整を進め、オープン戦の登板に臨む見通しです。
菅野 “ラッチマンの存在 オリオールズを選ぶ理由の1つに”
菅野投手が初めての実戦形式の投球練習で掲げたテーマは、チームの主力で、大リーグを代表するキャッチャーのラッチマン選手との信頼関係を築くことでした。
菅野投手は入団会見の際に「すばらしいキャッチャーがいるので、彼と組むことが楽しみだ」と話すなどラッチマン選手の存在が、移籍先としてオリオールズを選ぶ理由の1つになったことを明かしていました。
2シーズン連続でオールスターゲームに選出されている27歳のラッチマン選手は、高いキャッチングや配球の技術に加え、昨シーズン、ホームラン19本、79打点をマークした強打を誇る大リーグを代表するキャッチャーです。
この日、ラッチマン選手と初めてバッテリーを組んだ菅野投手は「いよいよ始まるんだなと気持ちの高ぶりはあった」と喜びました。
練習前にはラッチマン選手から「どんなふうに投げたいのか」と聞かれ、見たいボールを要求するよう菅野投手からリクエストを出したということです。
そして「コミュニケーションを取りながら、今まで投げたことないようなコースに、投げたことないようなボールを投げたので新鮮で楽しかった」とラッチマン選手の配球に刺激を受けている様子でした。
練習後には2人で話し込む場面もあり、菅野投手は「僕自身の事も少しは知ってもらえたと思う」と初めてバッテリーを組んだこの日の投球を振り返ったうえで「求められたことに対して、しっかり力を発揮するということが今シーズンの1つのテーマだ。自分が投げたことのないコースに投げて、バッターがどういう反応をするのかや、どういう結果になるのかということを含めて、すべてを受け入れて今シーズンやっていきたい」と大リーグという新たな環境で変化をいとわない姿勢を見せました。
一方、ラッチマン選手は菅野投手のボールの印象について「彼はさまざまなバッターを攻める武器を持っていて、特にスプリットはすばらしい。彼の投球を実際に見ることができてよかった」と語りました。
そのうえで「これから多くのバッターと対戦するほど、多くの話し合いが必要になると思う。お互いのことをよく理解するにつれて、1年を通してコンビネーションは変化していくと思う」と今後を見据えていました。
プロ野球で輝かしい実績を残してきた35歳のオールドルーキーは、頼もしい新たな“相棒”とともに念願だった大リーグの舞台に挑みます。