[番記者の回想]誇り高き20000イニングの外野守備

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[番記者の回想]誇り高き20000イニングの外野守備

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[番記者の回想]誇り高き20000イニングの外野守備<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

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Naoya Sanuki

メジャーでの19年間で外野を守ったのは20039.1イニングに及ぶ。立場が保証されなかったキャリア後半も、準備を怠ることはなかった。誰よりもプレーを見てきた番記者が、その知られざる勲章を記す。

「これまでで、一番印象に残っていることって何ですか?」

 これはタイトル獲得者や、長い現役生活を終えた選手らがよく尋ねられるテーマだろう。自分も過去、同じことを何人ものアスリートに問うてきた。

 しかし昨年12月、そんな定番の質問を、イチローさん本人から投げかけられるとは思ってもみなかった。

 イチローさんの「これまで」は、2001年のMLBデビューからマリナーズでの引退までの約19年間を指していた。

「何だろう? あまりにもいろんなことがあり過ぎて、何を選んでいいのかちょっと分からないですね……」

 ひとまずそう答えてみたものの、しばらく考えてもその瞬間が出てこない。それから2日後、ふと思い浮かんだのは「記憶に残らない守備機会20000イニング」だった。

 それはYouTuber「Nuts_野球心中」さんの動画「イチロー、驚異の守備力とレーザービームの分析」回で紹介された、ある記録からヒントをいただいた。「Nuts_野球心中」さんによると、第2次世界大戦以降のMLBで通算20000イニング以上の外野守備機会があったのは12人。そのなかでイチローさんはただひとり、守備率9割9分以上(注:通算20039.1イニングで9割9分3厘。2位はダイヤモンドバックス、ドジャースなどで活躍したスティーブ・フィンリーの9割8分8厘)をマークしたという。そんなマニアックな数字と取材現場で見たいくつもの光景が重なり、自分には最も印象深いものとして腑に落ちたのだった。

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