サッカー日本代表の構造的欠陥 久保建英がレアル・ソシエダで見せている本来の力を出しきれない原因は何か? – Sportiva

サッカー日本代表の構造的欠陥-久保建英がレアル・ソシエダで見せている本来の力を出しきれない原因は何か?-–-sportiva スポーツ
サッカー日本代表の構造的欠陥 久保建英がレアル・ソシエダで見せている本来の力を出しきれない原因は何か? – Sportiva

サッカー日本代表の構造的欠陥 久保建英がレアル・ソシエダで見せている本来の力を出しきれない原因は何か?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 2026年W杯アジア最終予選、日本はサウジアラビアと0-0とスコアレスドローに終わっている。退屈で、スペクタクル性に乏しいゲームだった……。

 日本は前戦、バーレーンを2-0で下し、W杯出場を”世界一番乗り”で決めていた。勝ち負けが云々されるゲームではない。20歳の高井幸大のような若手が的確なパスを打ち込むなど、好プレーを見せる収穫もあった。

 サウジアラビアも「プレーを放棄した」戦い方で、ゴールを生み出すのは難しい状況だった。こんな戦いを恥も外聞もなく90分するチームがW杯のピッチに立つのはふさわしくない。語る価値もないチームだった。

 しかしながら、それを打ち破ることができなかったのが、「世界一」を目標として公言した森保ジャパンの実像なのである。

「これだけ押し込んで、3-0でおかしくもない試合展開で0-0だったのは反省で……」

 試合後、バーレーン戦に続いて2試合連続でゲームMVPのプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された久保建英は語り、以下のように続けている。

「(試合前から)引いてくるのかな、とは思っていたんですが……ほぼ”ベタ引き”で、”サッカーを捨てる”じゃないですけど、カウンターらしいカウンターもなくて、ハーフコートマッチというか、練習のようでやりにくさはありました。そのなかで、最後のところまではいけていたし、ポケットまでは取れていたんですが、その後のクロスのところとか、決めきることができませんでした」

 久保はサウジアラビア戦でも、才能の片鱗を見せていた。だからこそ、ゲームMVPに選出されたのだろうが、本来の彼の実力はこんなものではない。彼が主戦場とするスペイン、ラ・リーガにおいては、サウジアラビアのそれは「ブロック」と呼ぶにも値しないほど貧弱であり、本当は暴風が敵をなぎ倒すようなプレーができたはずだ。

 なぜ、久保は才能を出しきれなかったのか。

サウジアラビア戦で後半17分までプレー、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた久保建英 photo by Kishimoto Tsutomuサウジアラビア戦で後半17分までプレー、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた久保建英 photo by Kishimoto Tsutomuこの記事に関連する写真を見る サウジアラビア戦の久保は、シャドーのポジションを任されていた。3-4-2-1というツリー型のフォーメーションのなか、1トップの背後を影のように動き、サイドや中盤と連係し、攻撃を活性化させる役割だ。彼はシャドーを担うだけの能力がある。

 しかし、チームにはいくつか構造的欠陥が見えた。

1 / 3

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

    小宮良之の記事一覧

フォトギャラリーを見る

キーワード

タイトルとURLをコピーしました