◇20日 サッカーW杯北中米大会アジア最終予選C組第7戦 日本2―0バーレーン(埼玉スタジアム) ◆久保建英、相馬勇紀の横でツンデレのピース【写真】 エース誕生を感じさせるプレーだった。8大会連続のW杯出場を史上最速で決めた日本代表。その中にあって、ひときわ輝いていたのが先発出場した久保建英選手(レアル・ソシエダード)だ。 勇気を持って守備ブロックを高めに設定していたバーレーン相手に、予想以上に苦戦する日本。0―0のまま迎えた後半21分、均衡が破れた。DF伊藤からの縦パスを受けた上田が、縦に動き始めた久保に素早くつなぐ。その背後を駆け上がった鎌田に久保が絶妙なパス。これを鎌田が決めた。さらに同42分。ショートコーナーからの折り返しを受けた久保は、そのまま一気にカットイン。左足でGKのニアサイドを打ち抜き、食い下がるバーレーンにとどめを刺した。 昨年のガルフカップで優勝し、この一戦に向けても万全の準備をしてきたバーレーン相手に、久保は1得点1アシストの大活躍。それだけではない。この試合は守備面でも大きく貢献し、素早い切り替えから相手のボールを奪うとそのまま攻撃参加し、何度も好機をつくった。攻守にわたり、獅子奮迅の活躍。まさにエースの称号がふさわしい働きをみせた。 所属するレアル・ソシエダードでもその存在感が大きくなっている。とくに今年に入ってからのプレーはテクニックだけでなく、強さと速さを発揮。運動量も豊富で、チームのために献身的に戦っている。 その姿勢は、この日も変わらなかった。豊富な運動量、抜群のテクニック。献身的な守備。なによりもすごいのは、ボールを受けた瞬間に相手ゴールに向かって動きだすターンのテクニックだ。 いい守備から素早く攻撃に切り替えると、不思議なほどいいパスが回ってくる。ボールとの距離が近いから、いい形でボールを受けることができる。右、左、そして中央と、味方と連係しながらながらポジション変え、神出鬼没、縦横無尽に動く。 試合後のインタビューでの久保の言葉がすべてを物語っていた。「前回の最終予選は自分の幼稚さだったり幼さがでた。今回は、チームのために、チームのためにといいうことだけを一心に考えて、結果、ゴールを決めることができて、チームの勝利に貢献できてうれしいです」。以前の久保は、ともすれば独りよがりなプレーで自滅する傾向があった。だからいまひとつ信頼を勝ち取れず、途中出場か、先発しても途中交代がほとんどだった。 しかし、この日は先発フル出場。心技体、すべての面で成長し、そしてチームのために戦うと、自分のプレーにポジティブに跳ね返ってくることを知っている。 過去のW杯を振り返ると、必ずといって優勝チームにはエースと呼ばれる絶対的な選手が存在する。前回2022年W杯カタール大会でいえば、優勝したアルゼンチンにはメッシ、準優勝のフランスにはエムバペ、3位のクロアチアにはモドリッチがいた。日本が目標とするベスト4、さらにはW杯優勝のためには絶対にエースと呼ばれる存在が必要なのだ。 そのエースになれる一番手の候補。2026年のW杯本大会中に25歳になる久保がさらに大きく成長していることを期待したい。 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。
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