1月31日夜、キング・ペレゆかりの背番号10をまとった32歳は、マルセロ・テイシェイラ会長とペレの息子エジーニョ(サントスでもプレーした元GK)にエスコートされ、サントスの本拠地ヴィラ・ベウミーロ・スタジアムのピッチを11年半ぶりに踏みしめた。すると、半袖からタトゥーが覗くネイマールと古巣ファンにとって、エモーショナルな瞬間が訪れた――。
自分のすべてを懸けて、全力でプレーする
「プリンスが帰還した!」
MCが叫ぶ。このクラブではペレがキングであり、彼はその後継者、という見立てである。スタンドを埋めた観衆が、ネイマールの名を繰り返しコールする。その中には、激しく体を振るわせて絶叫し、嬉し涙を流すファンが少なくなかった。満面に笑みを浮かべてひとしきり応えた後、感極まって両手で顔を覆った。そして、このように語った。
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「自分の家へ戻ってこれて、本当に幸せだ。17歳でデビューしたときのことをまざまざと思い出した」
「(2013年に)ここを去ったとき、僕は『また帰ってくる』 と言った。その言葉通り、今、戻ってきた」
「僕は、ここでまだまだやるべきことがある。自分のすべてを懸けて、全力でプレーする」
場内を一周し、ボールを蹴り入れ、ユニフォームを投げ入れてファンの歓呼に応えた。
その後、スタジアム内で行なわれた記者会見に臨んだ。
今回の電撃復帰について聞かれると、「ほんの2週間前まで、全く頭になかった」。アルヒラルを退団した理由は「幸せでなくなったから」。契約期間が6月末までであることについて聞かれると、「すべては自分次第。契約を延長することも十分にありえる」。そしてセレソン(ブラジル代表)への思いを聞かれると——こう言い切った。
「来年のワールドカップ(W杯)にぜひとも出場したい」
年俸258億円…サウジでのプレータイムは428分だけ
あらためて、ネイマールが古巣復帰を決断した経緯を振り返る。
2023年10月、北中米W杯南米予選ウルグアイ戦で左膝前十字靭帯と半月板を断裂。1年後の昨年10月に復帰したが、11月に今度は右足の太ももを痛めた。チーム練習に加わって復帰間近かと思われた1月中旬、アルヒラルのジョルジ・ジェズス監督は「ネイマールはフィジカル面で他の選手についていけていない」と語り、国内リーグへの選手登録を見送ることを明らかにした。
このため、彼が出場できるのはAFCチャンピオンズリーグエリートの数試合だけ。ネイマールは激怒して監督をなじり、クラブへ退団を申し入れたのである。
そもそも、彼にとってアルヒラルは単なる金儲けの場所でしかなかった。
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