三笘だけでなく…左サイドで伊藤をどう活かすか
ドイツの名門バイエルン・ミュンヘンで日に日に存在感を増している伊藤洋輝をいかにしてグループに上手く組み込み、チーム力を上げるのか。サッカー日本代表が20日の19時35分、埼玉スタジアム2002でキックオフを迎える今回のバーレーン戦では、それも大きなテーマになる。 W杯本番で結果を残すという目標のためには――予選を突破しないといけないものの――この試合がゴールではあろうはずがない。久保建英もこう話している。 「W杯に行くことが目標のチームではないので。勝てば、W杯出場というボーナスがついてくるくらいの感覚で、目の前の相手に勝つことに全力で臨めればなと思います」 ディフェンスラインにケガ人が続出しているタイミングに加え、来年の本大会に向けてチーム力を上げるために何をすべきか。それをみんなが考えているからこそ、伊藤の力を日本代表に還元する道を模索するのは意義のあるトライだ。 振り返ってみると、これまで伊藤が日本代表のピッチに立つ時間の大半で求められていたのは、左アウトサイドの攻撃的な役割を担う三笘薫をどう活かすかだった。もちろん、三笘がその能力をさらに発揮できるための方策は今後も考えていくポイントだろう。しかし、今はそれだけではない。伊藤は現在もっとも高いレベルで“ヨーロッパでの日常”を戦っている選手であり、同時にバイエルンでは実に色々な役割を担っているからだ。
伊藤がバイエルンで与えられる“4つの役割”
じつは2月12日のセルティックとのCLで実戦復帰を果たしてから、伊藤はすでに4つのポジションとタスクを与えられているのをご存じだろうか。以下が、その概要だ。1は3バック、2〜4は4バックの左SBで出た際に大まかにわけて3つのパターンである。 1:3バックの左センターバック 2:攻撃時にも最終ラインに残って組み立てに参加する 3:攻撃時にはボランチのような位置でプレーする 4:攻撃時にはインサイドハーフのように動き、左サイド内側のレーンでダイナミックに上下動を繰り返す 多くの役割を求められ、重要な戦力となりつつある状況を、本人はどう考えているのか。今回の合宿初日、伊藤に直接問うたところ、こんな答えが返ってきた。 「(コンパニ)監督はトップレベルでずっとDFとして活躍してきた方ですし、特に守備の部分に関しては個の部分も、チームとして日々守り方をミーティングで学ばせてくれています。そういったところで学んでいきながら、守備だけではなくて、攻撃でも幅を広げて行けたらなと思っています」 伊藤はバイエルン加入が決まった直後のインタビューで「同じセンターバックの選手として世界で活躍してきた監督から学べること」を楽しみにしていると語っていたが、今はそれが日常になっている。 そんな伊藤は、2月15日のレバークーゼン戦でも光るプレーを見せた。 バイエルンがブンデスリーガで統計開始以来はじめて、前半に1本もシュートを打てないままで終わったのだが――前半最大のチャンスは、伊藤がインサイドハーフのように相手を背負って受けつつ、後方にいたムシアラにパスを落とし、ムシアラがファールを得た場面だった。