これで勢いに乗ったチームは、桐蔭横浜大を経て川崎に復帰して3年目の新エース候補、24歳のFW山田新が左SB三浦颯太のお膳立てから追加点。
そして同じく桐蔭横浜大を経て昨季、川崎でプロとなった23歳のMF山内日向汰が嬉しい初ゴールで続き、その山内の絶妙なクロスから、山内とアカデミーの同期である23歳のFW宮城天(宮城はU-18から昇格)がお洒落なヒールで4点目を決めてみせた。
自らもアカデミー出身であるキャプテンの脇坂泰斗は「僕が点を取れればもっと良かったですが情けないです」と周囲を笑わせながら、後輩4人が活躍した意味を強調する。
「アカデミー選手がたくさん点を取って勝つというのは、クラブにとっても新しい一歩を踏み出せたのかなと思います。またそこに至るまで彼らを指導したアカデミーのスタッフの方が多くおり、新たな拠点としてAnkeフロンタウン生田ができたり、すごく力を入れてきたなかで、彼らの活躍は今の育成年代の選手の励みになるはずですし、アカデミーのコーチの方々も嬉しいはずです」
ここ数年、急速に力を付けてきた川崎の育成組織の出身者としては欧州で活躍する三笘薫、田中碧らも有名で、現チームには、若き日本代表の一員としてU-20アジア選手権に参戦中の司令塔・大関友翔らがいるなどタレントを輩出し続けている。
もっとも彼らの活躍を喜びながら、忘れてはいけないのは、その裏には、今季からトップチームのスタッフに加わった長橋康弘ヘッドコーチ、佐原秀樹コーチ、吉田勇樹コーチらアカデミーを支えてきた人たちの貢献や、若手を温かく時には厳しく指導してきた鬼木達前監督らの尽力があったこと。
そうした“種まき”が、ひとつの成果として表われたのは大きなことである。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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